本校は、大正9(1920)年3月に由利郡本荘町立本荘実科高等女学校として設立を認められ、同年4月15日に開校しました。これまで2万3千370人の卒業生を送り出し、その多くが、県内はもとより、国内外で活躍しております。平成3年(1991)年、創立70周年を機に「真実為原」(しんじついげん)を校訓と定めました。「真実(正しさ)をもって、物事の原点とする」という意味です。生徒は、この校訓を常に心にとどめ、日々勉学に励んでいます。平成19(2007)年には、男女共学となり、普通科に加えて、理数科と国際科が新設されました。その後、令和2年に創立100周年、翌年にその記念式典が本校の体育館で行われました。今年(2024年)は「同窓会・ゆりの会創立100周年記念事業」が6月16日(日)本荘グランドホテルで行われます。これまでの歴史を振り返りつつ、未来に紡ぐべく由利高校のあるべき姿に思いを巡らせ、共に語り合う機会になればと思います。
 
 由利高校は、「主体的に学び、心身を鍛え、自らの進むべき道を見つけ、地域・社会とのつながりを大切に、自らの力で行動できる」ことを、目指す生徒の姿とし、日々多様な教育活動を行っております。「学習の基礎となる資質・能力」としての「問題発見・解決能力」は、予測が困難といわれる時代に生き、その社会の創り手となる生徒にとっては、必要不可欠な力であると考えます。普通科・理数科・国際科におけるカリキュラムは、生徒の進路目標に応じて配置しているだけでなく、各教科等の授業では「習得・活用・探究」の学びの過程を重視しております。全ての教育活動において、「思考力・判断力・表現力」を働かせ、他者と協働することで、学びの拡張と深化を図るとともに、ICTを活用して情報を収集・整理・発信する活動が円滑に進むように、指導体制を充実させて参ります。 地域の皆様には、部活動や特別活動への御理解と御協力を賜り、生徒自身が自らを鍛え、高める機会をいただいております。新たな事への挑戦は、時としてうまくいかないことも想定されますが、体験を通した学びだからこそ得られる気づきや感動が、生徒個々の人間的成長につながると確信しております。
 
 3月の卒業式では、本校校歌の作詞者である矢坂秀司さんから、「地元に残って郷土のために力を尽くそうとする人も、世界へ出て自分の力を試そうとする人も、それぞれの道は等しく、限りなく続いている。澄んだ目と、鍛えた英知を生かして、自分で考え行動する大人になってほしい」というメッセージをいただきました。
 現代社会は時代の転換点にあると言えますが、世界のパワーバランスが目まぐるしく変化する中では、未来を予見することはさらに困難になると感じます。しかし、そのような状況だからこそ、「どんな未来になったら幸せか」というシンプルな問いに、生徒の柔らかな頭脳で、想像力を働かせ、辛抱強く、その答えを探し、考えることには、実現可能性の有無に関わらず、自らの生き方に向き合うという大きな意味があると思います。

 本校が100年を超える歴史ある伝統校として、歴代の同窓生の皆様をはじめとする、地域の多くの方々から、物心両面にわたる温かい御支援を賜り、現在の歩みを進めておりますことに感謝申し上げます。令和6年度も、将来の主役世代となる生徒育成のために、教職員一同励んで参りますので、今後とも、本校への皆様の一層の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。
 

 
                              令和6年4月
                              秋田県立由利高等学校
                              校長 熊谷禎子